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ベロシティは「速度」じゃない — 打ち込みが機械っぽくなる最大の原因

ベロシティは「速度」じゃない — 打ち込みが機械っぽくなる最大の原因

ピアノロールの記事で少し触れたベロシティ。
日本語にすると「速度」なので、テンポの話かと思いますよね。
違うんですw

ベロシティが決めているのは「強さ」

ベロシティの語源は鍵盤を押す速さだが、実際に決めているのは音の強さであることを示す図

velocityという言葉は、電子ピアノの鍵盤の仕組みから来ています。
鍵盤を速く押し下げれば強い音、ゆっくり押せば弱い音。
つまり「押す速さ」で強弱を検出していたので、そのままvelocityという名前が付いたわけです。

でも私たちがマウスで打ち込むとき、速さなんて関係ありません。
だから実用上は「音の強さ」を0〜127の128段階で指定する値、と理解すれば十分です。
由来を知っておくと、なぜ変な名前なのかのモヤモヤは晴れますね。

変わるのは音量だけではない

ベロシティを上げると音量だけでなく音色も変わることを示す図

ここが意外と知られていないポイント。
ベロシティを上げると、単に音量が大きくなるだけでなく音色そのものが変わることがあります。

理由はサンプル音源の作りにあります。
本物のピアノやドラムを録音するとき、弱く弾いた音・中くらい・強く弾いた音を別々に収録しておいて、ベロシティに応じて鳴らす録音データを切り替えるのです。
実際のピアノも、強く叩けば音量が上がるだけでなく硬くギラッとした音色になりますよね。それを再現しているわけです。

だからベロシティを上げるのと、後からフェーダーで音量を上げるのは、意味がまったく違います。
前者は「強く弾く」、後者は「弾いた音を大きくする」。

全部127だと、なぜ機械っぽくなるのか

ベロシティが全部最大だと機械っぽく、強弱をつけると人が弾いたような揺らぎが出ることの比較図

マウスで音を置くと、多くのDAWではベロシティが初期値(最大付近)で揃います。
これが打ち込み感の最大の原因です。

人間は同じ強さで連打できません。
拍の頭は自然と強くなるし、細かいフレーズの途中は弱くなる。
その揺らぎが全部なくなると、正確なのに生気のない演奏になってしまう。

対処はシンプルで、拍の頭を少し強く、それ以外を少し弱く。
ドラムならキックとスネアの表拍を強め、ハイハットの裏拍を弱め。
これだけで驚くほど印象が変わります。数値を厳密に決める必要はなく、バラついていること自体に意味があります。

初心者がやりがちなミス

  • 音量調整をベロシティでやってしまう — トラック全体を小さくしたいならフェーダー。ベロシティを下げると音色まで変わってしまう
  • 全部を均等にバラつかせる — ランダムに散らすだけだと今度は不自然。拍の強弱という「意味のある揺らぎ」にする
  • ベロシティに反応しない音源で悩む — 音源によっては音量しか変わらないものもある。音色が変わらないのは設定ミスではなく音源の仕様のことも

まとめ

  • ベロシティは「速度」ではなく音の強さ(0〜127)。名前は鍵盤の仕組み由来
  • 音量だけでなく音色も変わる。強く弾いた録音に差し替わるため
  • 全部最大だと機械っぽい。拍の頭を強めるだけで自然になる