EQを開くと、画面にカーブがあって、下につまみが並んでいます。
でも初心者がまず詰まるのは「何Hzを何dB上げるか」ではありません。
そもそもこのカーブは何を表していて、つまみを回すと形がどう変わるのか、そこがわからないまま触っているという状態です。
実はEQが作れる形は、たった3種類しかありません。
この3つの名前を覚えるだけで、プリセットを見たときに「あ、これは掃除してるだけだな」と読めるようになります。
まず画面の見方。横と縦が何なのか

横軸は音の高さ、つまり周波数です。
左に行くほど低い音、右に行くほど高い音。ピアノの鍵盤を横に寝かせたものだと思ってください。
縦軸は、その高さの音を増やすか減らすか。
真ん中の線が「何もしていない」状態で、線が上に膨らんでいればそこを足している、下にへこんでいればそこを削っている。それだけです。
ここで使われている単位がdB(デシベル)です。
数字の感覚が怪しい人はdBってなに? 音の大きさの単位をざっくり理解するを先に読んでおくと、この後が楽になります。
EQが作れる形は3種類しかない

どんなに高級なEQでも、画面に描ける形はこの3つの組み合わせです。
プラグインによって呼び名が微妙に違いますが、形さえ見れば一発で判別できます。
- ピーキング:山または谷。一点を中心に、その周りだけ上下する
- シェルビング:棚。ある高さから先が全部、平行に上下する
- フィルター:坂。端から先が落ちていって、最終的に消える
ピーキング ― 一点を狙い撃ちする
一番よく使う形です。
「中心の周波数」を決めて、その周りを山にするか谷にするかを選びます。
たとえばボーカルの「サ行が痛い」とき。
痛い帯域はだいたい一点に集中しているので、そこだけ谷にして削ります。全体を暗くせずに、痛いところだけ消せるのがピーキングの強みです。
逆に「ここの響きがほしい」と思ったとき、ピンポイントで足すのもピーキングの仕事になります。
ただし足す方は難しいので、慣れるまでは削る用途で覚えておくのが無難です。
シェルビング ― ある高さから先を全部
棚(シェルフ)という名前の通り、段差を作る形です。
「3kHzから上を全部ちょっと持ち上げる」のような使い方をします。
ピーキングが手術なら、シェルビングは化粧です。
高域シェルビングを少し上げれば全体が明るくなるし、低域シェルビングを少し上げれば全体がふくよかになる。どこか一点を直すのではなく、音のキャラクターそのものを動かす役です。
効き方が広い分、やりすぎるとすぐ不自然になります。
=三。・o・)ノ 1〜2dBで十分、くらいの気持ちで。
フィルター ― 端からバッサリ切り落とす
ハイパスフィルター、ローパスフィルターと呼ばれるやつです。
シェルビングが「段差を作る」のに対して、フィルターは「その先を消しにいく」。坂の角度がきつくて、最後はゼロまで落ちていきます。
使う場面はほぼ決まっていて、そのトラックに必要ない帯域を捨てるためです。
ボーカルに入っている20Hzの空調ノイズとか、ギターに入っている超低音とか、聞こえないのに音量だけ食っている部分の掃除ですね。
詳しくはハイパス・ローパスとは? 使わない帯域を捨てるだけで音は整うとボーカルにハイパスをかける理由でも書いています。
形が決まれば、役割も決まる

この3つを「形」ではなく「役割」で覚えると、実戦で迷わなくなります。
狙い撃ちしたいのか、全体の味付けをしたいのか、いらないものを掃除したいのか。先にそれを決めてから形を選ぶ、という順番です。
\あるある〜/ プリセットを開いて「なんかすごいことしてそう」と思っていたら、よく見るとハイパスとシェルビングを少し動かしているだけだった、みたいなことは本当によくあります。
初心者がやりがちなミス
- いきなりブーストから入る:足すと音量も上がるので「良くなった」と錯覚しやすいです。まずは削って、空いた場所を作る方が結果的に近道になります。
- フィルターとシェルビングを混同する:どちらも「端の方を動かす」ので見た目が似ていますが、シェルビングは残す、フィルターは捨てる。目的がまったく違います。
- 全部のトラックに同じ処理をする:EQは「その曲のその音」に対する処置です。誰かの設定をそのまま持ってきても、素材が違えば結果は違います。
まとめ
- EQ画面は、横が音の高さ・縦が増減。それ以上の意味はない
- 作れる形はピーキング・シェルビング・フィルターの3つだけ
- ピーキングは狙い撃ち、シェルビングは味付け、フィルターは掃除
- 迷ったら「今やりたいのはこの3つのどれか」から考える
次は、ピーキングで必ず出てくる「Q」というつまみの話をします。
山の太さを決めるやつですね。