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耳に痛い帯域の探し方 ― スイープ法で犯人を特定する

耳に痛い帯域の探し方 ― スイープ法で犯人を特定する

「なんかこのボーカル、聴いてると耳が疲れる」
「このギター、どこかキンキンする」

原因がどこかにあるのはわかる。でも何Hzなのかがわからない。
そこで止まってしまう人のために、場所を特定する方法を書きます。やり方自体はとても単純です。

スイープ法 ― 山を作って、動かして、探す

スイープ法の3ステップ

やることは3つだけです。

  • 狭いQで、大きくブーストした山を作る(10dBくらい派手に上げてOK)
  • その山を左右にゆっくり動かす
  • 一番イヤな音になる場所を見つけたら、そこを下げる

ポイントは、探すときにわざと大げさにすることです。
ちょっとだけ上げて動かしても違いがわかりません。思い切り上げると、問題の帯域を通過したときに「うわっ」となるので、素人耳でも一発でわかります。

Qを狭くするのは、範囲を絞って犯人を特定するためです。
Qの話がピンとこない人はEQの「Q」ってなに?を先にどうぞ。

探し終わったら、必ずマイナスに振り直す

スイープのブーストを残してしまう失敗

ここが一番の落とし穴です。

スイープで作った山は探すための道具であって、処理ではありません。
場所を見つけたら、そのゲインをマイナス方向に振り直します。上げっぱなしで次の作業に進むと、痛い帯域を思い切り強調した音が完成します。

\あるある〜/ 翌日に聴き直して「なんでこんなにキンキンしてるんだ」と思ったら、スイープの山が残っていた。これ、本当にやります。

削る量は、まず3〜6dBくらいから。
削ってみて、まだ痛ければ深く、音が痩せたなら浅く。削った後は必ずバイパスして元と比べてください。

だいたいの目安は知っておくと早い

帯域ごとの耳に痛い音の目安

毎回ゼロから探すのは大変なので、あたりをつけられると速くなります。
ただしこれは目安であって正解ではありません。同じ「耳に刺さる」でも、声質やマイクや部屋によって場所は動きます。

特に2〜5kHzは、人間の耳がもっとも敏感な帯域です。
ここは「聞こえやすい」と「痛い」が紙一重なので、削りすぎると今度は聞こえなくなります。慎重にいきたいところ。

サ行が痛い場合は、EQで固定的に削るよりも専用の処理が向いていることがあります。
これは後日ディエッサーの記事で詳しく書きます。

全体で聴きながら探す

スイープはソロで聴いた方がわかりやすいのですが、最終的な判断は全体でやってください。

ソロで気になる「シャリつき」が、全体では他の音に隠れて誰も気にしていない、ということは普通にあります。
逆に、ソロでは問題なかったのに全体だと刺さってくる場合もある。これはマスキングの関係で聞こえ方が変わるからですね。

場所を特定するまではソロ、削る量を決めるのは全体。
この使い分けが現実的です。ソロで聴くと上手くいかない理由もあわせてどうぞ。

初心者がやりがちなミス

  • 大音量で探す:痛い帯域を大げさにブーストして大音量で聴くのは、耳へのダメージが大きいです。音量を下げてから探してください。
  • 見つけた場所を全部削る:気になる帯域は探せばいくらでも出てきます。削りすぎた音はスカスカになるので、本当に邪魔な1〜2箇所にとどめましょう。
  • 疲れた耳で判断する:長時間作業した後の耳は高域に鈍くなります。詳しくは耳が疲れるとミックスは壊れるに書きました。

まとめ

  • 狭いQで大きくブーストした山を作り、左右に動かして犯人を探す
  • 探すときは大げさに。わかりにくいなら上げ方が足りない
  • 見つけたら必ずマイナスに振り直す。上げっぱなしは厳禁
  • 帯域の目安は便利だが、素材ごとに場所は動く

次は「抜けが悪い」という、ふわっとしているのに全員が使う言葉の正体を書きます。

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